枕が脱水できないのは
枕1個だと洗濯槽の中で重さが片寄り、洗濯機の安全装置が止めるからです。
つまり、洗濯機が壊れたわけではないケースがほとんどです。
バスタオルを2枚足して、短い脱水を2〜3回に分けて回すだけで、たいていはその場で水が切れます。
いま洗濯機の前で困っているなら、まずは下の表で、起きていることがどれにあてはまるかを見てみてください。
| 起きていること | 中身で起きていること | まずやること |
|---|---|---|
| ガタガタ鳴って 脱水が始まらない | 枕が片側に 寄っている | バスタオルを 2枚足す |
| 脱水と給水を くり返して終わらない | ドラム式が片寄りを 直そうとしている | 縦型か コインランドリーへ |
| 回るのに 水が切れない | 排水のどこかが 詰まっている | 糸くずフィルターを 掃除する |
| 枕が水を吸って ずしりと重い | ウレタンが水を 抱えこんでいる | 脱水せずに 手で水を押し出す |
ただし、低反発枕のように、そもそも脱水してはいけない枕もあります。
- 枕を入れたときだけ脱水が止まってしまう理由
- 洗濯機が壊れたのか、枕のせいなのかを見分ける方法
- ドラム式で脱水が終わらないときの次の一手
- バスタオルを使って確実に水を切るやり方
- 枕の脱水を何分にすればいいのか
- 洗ってはいけない枕を洗ってしまったときの対応
枕が脱水できないのは洗濯機が片寄りを見つけて止めているから

枕の脱水が止まる理由は、大きく分けて4つしかありません。
そのうち3つは枕側の問題で、残り1つが洗濯機側の問題です。
ここを切り分けられると、修理を呼ぶべきかどうかもすぐに判断できます。
枕1個だけで回すと洗濯槽が片寄って脱水が止まる
脱水は
洗濯槽をものすごい速さで回して、遠心力で水を外へ飛ばす仕組み
です。
このとき中身が片側に寄っていると、回転の勢いで洗濯機そのものが大きく揺れます。
ひどいときは本体が跳ねたり、倒れたりすることもあります。
だから洗濯機には、揺れが大きくなりすぎたことを感じ取って自動で止まる仕組みが入っています。
これが「偏り検知」と呼ばれるもので、要するに危ないから止めておくね、というブレーキです。

そして枕は、この片寄りを起こす条件をひととおり持っています。
- 大きいのに軽い
槽の中でスペースを取るわりに、釣り合いを取ってくれる相手がいない - 水を吸うと一気に重くなる
乾いているときとの重さの差が、衣類とは比べものにならない - 形が自由に変わる
回されるうちに中身が寄って、重さのかたまりが片側にできる - 1個で洗いがち
枕だけを単独で入れると、そもそも釣り合いようがない
この4つが重なるので、枕は洗濯物の中でもとくに脱水が止まりやすい部類に入ります。
逆に言えば
止まったのは洗濯機が正しく働いた結果なので、故障を心配する場面ではありません。
ドラム式で枕を洗うと脱水と給水が終わらなくなる
ドラム式は縦型より片寄りに弱く、枕とは相性がよくありません。

ドラム式は横向きに回るので、水を吸った枕はドラムの下に落ちて、そこで団子のようにかたまります。
洗濯機はその片寄りに気づくと、水を入れ直して並びをほぐそうとします。
ところが枕はほぐれないので、脱水と給水を延々とくり返すループに入ります。
見に行くたびに残り時間が減っていないのは、このループにはまっているサインです。
実際、パナソニックのドラム式のように
取扱説明書で枕を洗えないと書いてある機種もあります。
そして、ここが判断の分かれ目です。
- ドラム式で粘った場合
ループが終わらず、取り出すとびしょ濡れのまま。水を吸った枕は数kgまで重くなる - 同じ枕を縦型で脱水した場合
ふつうに脱水が完了し、重さは3kg前後まで落ちる - 脱水後にドラム式で乾燥させた場合
乾燥中もまた片寄りで止まるため、結局うまくいかない
つまり
ドラム式でリトライを重ねても、かかった時間の分だけ枕が水を吸っていくだけです。
2回試して終わらなかったら、そこで見切りをつけて縦型かコインランドリーに持っていくほうが早く終わります。
乾いたままの枕は水に浮いて片寄りやすい
意外と知られていないのが、洗いはじめの浮きです。
乾いた枕をそのまま縦型洗濯機に入れると、水に浮いてぷかぷかしたままになります。
この状態だと水が中まで届かず、洗えていない部分と、たっぷり水を吸った部分ができます。
そのまま脱水に入ると
重い側と軽い側がくっきり分かれた枕が槽の中で回ることになります。
洗いムラと片寄りが、同じ原因から一緒に起きるわけです。
洗濯機に入れる前に、シャワーで枕全体を軽く湿らせておくと、水を均一に吸ってくれます。
ひと手間ですが、あとで脱水が止まって困る時間を考えると割に合います。
洗濯機が原因かどうかは他の洗濯物1回でわかる
ここまでは枕側の話ですが、洗濯機そのものが原因のこともあります。
切り分けはかんたんで、枕を出して、バスタオル数枚だけで脱水を回してみてください。
- タオルだけなら脱水できた
洗濯機は無事。原因は枕なので、この記事の後半のやり方に進んで大丈夫 - タオルだけでも脱水できない
洗濯機側に原因がある。下の表を上から順につぶしていく
洗濯機側の原因は、じつは数が限られています。
| 見るところ | 起きていること | やること |
|---|---|---|
| 糸くず フィルター | ゴミが詰まって 水がはけない | 取り出して ゴミを捨てる |
| 排水ホース | ねじれ・つぶれで 水が流れない | まっすぐに 直す |
| 排水口 | 髪の毛や汚れで 詰まっている | ふたを外して 掃除する |
| ふた・扉 | 閉まりきらず ロックがかからない | もう一度 しっかり閉める |
| 本体の傾き | 脚がガタついて 斜めになっている | 脚の高さを 調整する |
水はちゃんと抜けているのに脱水が回らないなら、ふたのロックか本体の傾きを先に見ると当たりやすいです。
逆に、回っているのに水が残るなら、排水まわりの詰まりが濃厚です。
ここを全部つぶしても直らず、しかも使いはじめて10年近いなら、洗濯機の寿命も選択肢に入ってきます。
そもそも脱水してはいけない枕がある
最後にいちばん大事な話です。
低反発枕は、脱水どころか水につけること自体がだめな枕です。

低反発枕の中身はウレタンという、スポンジによく似た素材です。
スポンジのように水を吸うのに、内側に水を通しにくい膜があるので、吸った水が抜けていきません。
そのうえウレタンは水に濡れると加水分解という反応を起こし、ぼろぼろに崩れたり、かちかちに硬くなったりします。
加水分解は
水と反応して素材そのものが別のものに変わってしまう現象のことです。
一度こうなった枕は、うまく乾かせても元の柔らかさには戻りません。
素材ごとの目安は次のとおりです。
| 枕の中身 | 水洗い | 脱水のしかた |
|---|---|---|
| ポリエステルわた | できる ことが多い | 短めを 数回に分ける |
| パイプ・ビーズ | できる ことが多い | 穴に水が残るので ざるで水を切る |
| 羽根 | できる ことが多い | 弱めに短く かける |
| 低反発・高反発 ウレタン | できない | 脱水しない 手で押し出す |
| そばがら・羽毛 | できない | 脱水しない 拭き取りのみ |
ただし、これはあくまで一般的な目安です。
できると書いてある素材でも
手持ちの枕が洗えるかどうかは本体のタグにしか書いてありません。
洗える枕なら、桶のマークや手洗いのマークがついています。
素材もタグもわからないときは、洗えない枕として扱うほうが安全です。
もう低反発枕を洗ってしまった…という場合は、脱水にかけずに、両手で挟んで水を押し出してから陰干しに切り替えてください。乾くまで1週間近くかかることもありますが、遠心力でちぎるよりはずっとましです。
枕が脱水できないときにきちんと水を切るやり方

水を切る道は2つあります。
洗濯機に釣り合いを教えてやる道と、洗濯機を使わずに手で押し出す道です。
どちらを選んでも、今日じゅうに干せる状態までは持っていけます。
バスタオルを足して短い脱水を2〜3回に分ける
いちばん確実なのは
枕とバスタオル2枚を三角形に置いて、弱い脱水を短く分けて回す方法です。

手順は次のとおりです。
①大きめの洗濯ネットに入れる
枕よりひとまわり大きく、目の細かいネットを選びます。
ぴったりサイズがなければ、布団用の大きいものでも大丈夫です。
ネットは型崩れを防ぐためだけのものではありません。
②バスタオルを2枚足して三角に置く
乾いたバスタオルを2枚、軽く丸めて槽に入れます。
このとき、枕とタオル2枚が上から見て三角形になるよう、間隔を空けて置くのがコツです。
枕の横に重ねて置くと、重さが片側に集まってしまい、足した意味がなくなります。
同じくらいの大きさの枕がもう1個あるなら、2個で回してもかまいません。
③いちばん弱い脱水を短く回す
ドライコースや手洗いコースなど、いちばん優しい設定を選びます。
脱水の時間は、最初から長く取らずに短く区切ります。
回りはじめて数十秒たっても止まらなければ、そのまま最後まで回して大丈夫です。
④取り出して向きを変えてもう一度回す
1回終わったら枕を取り出し、両手で押して残った水を軽く出します。
そのあと枕の向きを90度変えて入れ直し、もう一度短く回します。
1回で長く回すより、短く2〜3回に分けたほうが、片寄りも型崩れも起きにくいです。
持ち上げたときにぽたぽた落ちなくなったら、そこで終わりにします。
枕の脱水は何分が正解なのか
結論を先に言うと、枕の脱水に「何分が正解」という共通の答えはありません。
実際に寝具メーカーや家具店の案内をいくつも調べ比べてみると、すすめている時間はきれいにばらけます。
| すすめられ ている時間 | そう言う理由 | 向いている枕 |
|---|---|---|
| 1〜2分以内 | 長いと中身が 寄って型崩れする | わた・羽根など やわらかい中身 |
| 3分を2回 向きを変えて | 短く分けたほうが 偏りにくい | 厚みのある ふつうの枕 |
| 9〜10分 | 中まで水が残ると 乾かず臭う | パイプなど 水が抜けにくい中身 |
言っていることが逆に見えますが、どれも間違いではありません。
中身がやわらかい枕は寄りやすいので短く、水が抜けにくい枕はしっかり回さないと乾かない、というだけの話です。
だから、時間で決めようとすると必ずどこかで外します。
おすすめは、時間ではなく回数で考えるやり方です。
- まず1分回す
止まらないか、変な音がしないかを見る - 出して触る
持ち上げて水が落ちるか、中身が寄っていないかを確かめる - 足りなければ足す
向きを変えて、また1〜2分だけ回す - 落ちなくなったらやめる
それ以上回しても、乾く時間はほとんど変わらない
この進め方なら、枕の中身が何であっても失敗しません。
洗濯機を諦めても手で水は抜ける
何度やっても止まる枕や、そもそも脱水にかけられない枕は、手で水を切ります。
手洗いした人も、この工程は同じです。
大事なのは1点だけで
ぜったいにねじって絞らないことです。
ねじった瞬間に中身が片側へ移動して、形が戻らなくなります。
- 浴槽のふちに枕を置き、両手のひらで上から押して水を出す
- だいたい出たら、乾いたバスタオルで枕をぐるりと包む
- タオルの上から体重をかけて押し、水を吸わせる
- タオルが重くなったら、新しいタオルに替えてもう一度
- どこを押しても水が出なくなったら、形を整えて終わり
タオルを2〜3枚使いつぶすつもりでやると、乾く時間がはっきり短くなります。
地味な作業ですが、脱水が止まる洗濯機とにらめっこするより早く終わることも多いです。
ドラム式しかない家はコインランドリーに持ち込む
家がドラム式1台だけなら
コインランドリーがいちばん現実的な逃げ道です。
置いてある洗濯機が大きいので、枕1個でも槽の中で片寄りにくくなります。
そのうえガス乾燥機があるので、洗ったその日に乾かして、その夜から使えます。
ダニは60度以上で死ぬので、高温で乾かせるのも家との差になります。
| くらべる点 | 家のドラム式 | コイン ランドリー |
|---|---|---|
| 脱水 | 片寄りで 止まりやすい | 槽が大きく 通りやすい |
| 乾燥 | 途中で止まる ことがある | 高温で その日に乾く |
| ダニ対策 | 温度が 足りないことも | 60度以上に できる |
| お金 | 電気代 だけ | 洗濯と乾燥で 1000円前後 |
| 手間 | 家から 出なくていい | 持ち運びと 待ち時間がいる |
料金は店舗や機械の大きさでかなり変わるので、上の数字はあくまでざっくりした目安です。
ひとつだけ、持ち込む前に必ず見てほしいものがあります。
タグに四角と丸にバツの「タンブル乾燥禁止」マークがある枕は、乾燥機に入れるとだめになります。
洗濯機は使えても乾燥機は使えない、という枕はふつうにあります。
コインランドリーの機械は家庭用より回転が強いので、縫い目がほつれている枕もやめておくほうが無難です。
ほぐして乾かすところまでが脱水の仕上げ
水が切れたら、干す前にやることがひとつあります。

脱水のあとの枕は、中身が片側に寄ったままです。
そのまま乾かすと、寄った形のまま固まって高さが変わってしまいます。
両手で軽く揉んで、中身を全体に散らしてから干してください。
干し方は中身によって分かれます。
- 日に当てていい
パイプ、ポリエステルわた、そばがら、ミニボールなど - 陰干しがいい
ビーズ、羽根、羽毛、低反発・高反発ウレタンなど
枕干しハンガーで立てて吊るすと、両面に風が通って乾きが早くなります。
それでも中までしっかり乾くのに2〜3日かかることもあるのが枕です。
表面が乾いていても、中に水が残っていることは珍しくありません。
そこで生乾きのまま使ってしまうと、寝汗が足されて、カビや臭いのもとになります。
きれいにするつもりが、洗う前より不衛生になるのがいちばんもったいない失敗です。
乾きが心配なときは、扇風機やサーキュレーターの風を当てるか、浴室乾燥に入れると進みが早くなります。
今夜の枕がなくて困る、という場合は、バスタオルを2〜3枚重ねてくるくる巻けば、一晩ならしのげます。生乾きの枕で寝るくらいなら、こっちのほうがずっとましです。
枕の脱水でよくある質問
本文で触れきれなかった細かい疑問をまとめました。
枕はどのくらいの頻度で洗えばいい
洗える枕なら、本体は半年に1回くらいが目安です。
枕カバーのほうは3日に1回のペースで洗うと、本体の汚れをかなり防げます。
洗えない枕を使っているなら、カバーをこまめに替えるのが唯一の対策になります。
コインランドリーで枕を洗うといくらかかる
洗濯と乾燥をあわせて1000円前後になることが多いです。
ただし機械の大きさや店舗でかなり差があり、乾燥はだいたい100円で10分前後という設定が一般的です。
枕は厚みがあって乾きにくいので、追加の硬貨は多めに用意しておくと安心できます。
脱水中に大きな音がしたけど洗濯機は大丈夫か
音がした時点で止めたなら、たいていは問題ありません。
枕を出したあとにタオルだけで脱水してみて、静かに回るなら洗濯機は無事です。
枕を抜いても音が出るなら、中に何か落ちている可能性があるので、槽の中を確認してみてください。
洗濯表示が薄れて読めないときはどうする
読めないものを推測で洗うのはおすすめしません。
メーカーや商品名がわかるなら、そこに問い合わせるのが確実です。
それも難しいなら、洗えない枕として扱い、カバー中心のお手入れに切り替えるか、買い替えを考えるほうが結果的に損をしません。
まとめ:枕が脱水できないときはバスタオルを足して短い脱水を2〜3回繰り返せば水は切れます
枕の脱水が止まるのは、洗濯機が壊れたからではなく、片寄りを見つけて安全に止めてくれたからです。
だから直し方も単純で、釣り合う相手を槽に入れてやればいいだけです。
迷ったときの判断は、この3つで足ります。
- タグを見て、洗っていい枕か
低反発ウレタンやそばがらなら、脱水せず手で押し出して陰干しに切り替える - タオルだけなら脱水できるか
できるなら洗濯機は無事。できないなら糸くずフィルターと排水まわりを疑う - ドラム式で2回止まったか
止まったなら粘らず、縦型かコインランドリーへ移したほうが早い
そのうえで、洗える枕なら次の順番でやってみてください。
ネットに入れて、バスタオルを2枚三角に足して、弱い脱水を1分ずつ2〜3回。
持ち上げて水が落ちなくなったら、中身をほぐして、風の通る場所に立てて干す。
ここまでやれば、あとは乾くのを待つだけです。
中まで乾いたか自信が持てないうちは、無理に使わず、丸めたバスタオルで一晩しのぐ。
その一晩をがまんできるかどうかで、枕の寿命はけっこう変わります。
